主権者[民衆]の社会学をめざして
   Sociology of, by, and for Sovereign People
   市民パラダイムを突破して、今真に必要とする人びとのための社会学を提起する!

社会学者庄司興吉のホームページ Sociologist SHOJI Kôkichi's Website     English Version
2022/06/02更新, Copyright, SHOJI Kôkichi, すべてのページの無断転載を禁じます)

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身体・地球・歴史・社会(BGHS)パラダイムの提起

 BGHSパラダイムを提起したい。
 BGHSとは、Body, Globe, History, Societyのことである。
 Bodyとは身体のことである。2020年初頭からの新型コロナウィルス感染症Covid-19のパンデミックで、私たちの身体が地球的規模で危機にさらされている。この危機はこれからも姿を変えながら続くかもしれない。
 Globeとは地球のことである。コロナが発生したのは、これまでの感染症の場合とは違って、明らかに地球環境の破壊、あえて言えば地球破壊が進んできたからである。地球破壊は、コロナよりももっと危険なウィルスを生み出すかもしれない。

 Historyとは歴史のことである。人類史は長いが、地球破壊にはとくにこの5世紀あまりの歴史が関係している。ヨーロッパ人の「大航海」に始まる近代史、具体的には近代世界システムの形成が、今日の地球破壊の原因である。

 Societyとは社会のことである。近代世界システムの形成が、今日の世界資本主義を基礎として、アメリカを最強とする国民国家の競合関係を生み出した。現代的国家間システムである。

 私は、このような大仮説のもとに、『ポストコロナの社会学へ』で、身体と地球と歴史と社会のそれぞれを分析し、最終章で、それらを関連づけて、今日私たちが生きている世界の概要を描き出して、それをふまえた場合の私たちの課題――何をなすべきか――を明らかにしようした。

 しかし、この本の編集を終えて刊行を待っているあいだに、ロシアがウクライナに侵攻し、第三次世界大戦に拡大してしまうかもしれない戦争が始まった。

 この事態をどうとらえるべきか、私は添付のようなパワーポイントをつくって研究会で報告し、事態の深刻さと解決の方向を訴えた。ロシアの武力行使を直ちに止めさせ、現在の世界システムを改革して、問題を解決していくべきである。

 パワポで提起しているような解決策は基本的に有効か、どのようにしてその具体化を図っていくべきか、日本がなすべきことは何か、私たちがなすべきことは、、、等々について意見を寄せてほしいと思う。


編著『ポストコロナの社会学へ:コロナ危機・地球環境・グローバル化・新生活様式』(新曜社, 2022)を刊行しました。

 
2020年の2冊の編著の編集を終え、刊行を待っているあいだに新型コロナウィルスCovid-19が世界に広まり、3月にはパンデミックになってしまいました。感染症の流行はこれまでにもくり返されてきたことですが、今回のパンデミックは20世紀から21世紀にかけて本格化してきたグローバル化のさなかで起こったことであり、それにブレーキをかけるものです。
 私たちの身体が危機にさらされており、その原因は、グローバル化の起動力となってきた開発が地球環境を汚染し、地球破壊ともいえる事態をもたらしていることにあります。こんなふうになってきた遠因を歴史に問い、現代社会の問題性を明らかにして、解決のための新しい生活様式を見出さねばなりません。そのために日本社会[科]学の基底を明らかにしようとしたら、それに矢澤修次郎がPost-Western Sociologyという問題提起を突きつけてくれました。
 そのうえで細田満和子は、コロナ禍のなかで広がっている教育の格差とそれによる社会的格差の問題を提起し、石川晃弘がソ連からロシアへの転換のなかで維持されているロシア民衆の生活世界の実態を明らかにしてくれました。これらをふまえてさらに池田和弘が地球環境問題の複雑さを切開し、武川正吾がそれらを含むグローバル化の経過と問題性を明快に提示してくれています。編者の庄司は、これらをふまえて身体、地球、歴史、社会を接続し、私たちが取るべき新生活様式の基本を示そうと努力しました。
 歴史は激しい勢いで動いており、この著が刊行される直前に、ロシアがウクライナへの侵攻を開始しました。ロシアがこのような行為に踏み切った背景を明らかにし、アメリカやEUを批判する声も出されていますが、暴力の行使そのものは有無を言わさぬ現実です。意見の相違を暴力の行使で解決しようとする行為は、人類史の成果を一挙に原点にまで戻すものであり、暴力の克服のうえに重ねられてきた人類社会形成の仕組みを無に帰せしめようとするものです。「ペンは剣よりも強しThe Pen is Mightier than the Sword.」という言説の意味を、想起せねばなりません。
 次の著書はこの問題提起に応えるものになりますが、そのためにも本書をぜひお読みいただきたいと思います。


編著『21世紀社会変動の社会学へ』および『主権者と歴史認識の社会学へ』を刊行しました。
 
2014年に横浜で開いた第18回世界社会学会議 XVIII ISA World Congress of Sociologyで日本社会学系コンソーシアムの立場からMessages to the Worldを出していらい、日本社会学の世界への発信を追求してきた当面の成果です。前者は21世紀社会の総体把握を追求しつつ、その変動方向とそれを担う変革主体のあり方を示そうとし、後者はそれに関わる日本の主権者とその歴史認識の当為性を明らかにしようとしています概要をご覧ください。

グローバル化のなかでの協同組合の役割
 
 協同組合学会・グローバル化と協同組合部会・研究会に参加した感想を、部会運営者に促されて書いてみました。

協同組合と日本社会の協同社会化の現在
 2018年9月28日から30日にかけて開かれた日本協同組合学会の大38大会に参加して感じたことを書いてみました。今回は農業協同組合の自己改革が課題です。

主権者研究を一緒にしませんか!

 7月に予定していた勉強会が台風のため中止のなったので、夏のあいだに練り直し、9月からあらためてやり直すことになりました。
 開催要領をご覧のうえご参加ください。


 主権者教育が必要なのは高校生や大学生ばかりではありません。一般成人も高齢者も自分が自分たちの社会に責任があることを忘れていないでしょうか。自分の社会をどうとらえ、生き甲斐を感じられるように日々を過ごすにはどうしたら良いのか、いっしょに考えてみませんか。
 
会場が決まりました。詳細をご覧のうえ、参加ご希望の方はご連絡ください。

 
第2回の報告と第3回へのお誘い!
 愛2回では、新しい資料をもとに社会をどんなふうにとらえたら良いのかを議論しました。理論ということでどうしても議論が固くなるので、後半ではとくに、中国を初めとする新興国が伸びてきて、欧米日「先進社会」で生活防衛や自国防衛の意識が高まってきているのにたいして、冷静に対応して世界の平和を保ちながら、富を分け合っていくためにどうしたら良いのかを考えました。いろいろな意見が出されて有意義な会でした。
 第3回では理論を使いながら現代社会をとらえる方法を分かりやすく説明し、みんなで実際にとらえてみたいと思います。
 初めての方にも分かりやすく説明し、議論の時間を増やしたいと思いますので、どうぞ気軽にご参加ください。

 
第1回の報告と第2回へのお誘い!
 第1回では最初の資料に加えて追加の資料をもとに、主権者研究会で何を目指しているかを確認し、とくに社会の現状をどうとらえたら良いのかについて議論しました。市民を主権者とする市民社会が植民地や従属国をふまえて成り立っていたという問題提起にたいして、参加者からいろいろな意見が出され、たいへん有益でした。
 第2回では、これをふまえて、そもそも社会とは何なのか、どんなふうに展開してきたのかについてみんなの言葉で問題を提起し、議論します。
 前回出られかった人たちにも分かるように説明しますので、どうぞお気軽にご参加ください。
 この勉強会は4回続きですが、各回がそれぞれ独立していますので、どの回からでても結構です。


グローバル化時代の主権者としてどう生きるか?

 
かわさき市民アカデミーでおこなったワークショップです。詳細は要点をご覧ください。

核ミサイルの暴発可能性とテロリズムの問題

 今、私たちが直面している最大の問題は、核ミサイルの暴発可能性とテロリズムの頻発である。いずれも20世紀から21世紀への転換にあたって解決し残した問題であるが、歴史をたどっていくと両者の背後に欧米日帝国主義の世界支配の、終末処理の不完全が浮かび上がってくる。
 テロリズムは、パレスチナ問題に集約される、欧米帝国主義の中東における植民地支配収束の失敗からきている。欧米諸国は、イスラエルの暴走を制御して中東諸民族に受け入れさせるための努力をあまりにも不完全にしかしておらず、逆に中東諸国の近代化と民主化の努力を混乱させ、ヴェトナムではまだ抗議のための焼身自殺に留まっていたものを、無差別に自己と周囲を傷つける自爆テロにエスカレートさせ、世界に広めてしまった。
 北東アジアでは、ソ連の崩壊と中国の「経済的」躍進を受けて、韓米同盟と日米同盟に対峙しつつしゃにむに生き抜こうとする北朝鮮の、核ミサイル武装化が進んでいる。
 このかんに、世界の
構造は、欧米日の植民地主義的世界支配から米ソ核軍拡競争による世界支配の時代をへて、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、それに態勢を立て直してこれらに倣おうとするロシア、などのいわゆる新興諸国先導のものに変わってきた。「アメリカ、ファースト」などと吠えるようになった「超大国」アメリカと欧日「先進」諸国は、電子情報市場化の異常昂進する世界ではまだ侮れない力を持っているが、最終的にヒューマンパワーで決着のついていく世界の帰趨は眼に見えている。
 
意味は明らかである。5世紀にわたる欧米日帝国主義の植民地主義的世界支配は覆され、新しい時代の新しい世界が始まったのだから、欧米日諸国はその「文法」と「作法」に従うしかないのである。
 日本は、東アジアから太平洋にかけて、欧米列強の世界支配の尻馬に乗ろうとし、アジア全土で敗北したあげく、沖縄を失い、全国の都市を絨毯爆撃され、最後に広島長崎に原爆を投下されて降伏した経験を持つ。欧米帝国主義に敗れたばかりでなく、アジア太平洋諸民族の独立闘争に敗れ、因幡の白兎のように丸裸にされたのである。「大東亜共栄」の「大義名分」など今さらなんの言い訳にもならない。正確な歴史認識にもとづいて周辺諸国に詫び、誠意を示して信頼を回復して、東アジアと世界の平和を具体的に求めるべきである。日本が取り得る
戦略はそれ以外にない。
 核ミサイルの開発にかんしては、当事国もそれが本当に武器として使えるなどとは考えていないであろう。分断された民族の一方が必死にすがりつこうとしている、生き残りのための象徴的手段である。ただ象徴でも武器は武器であるから、間違ってでも暴発したらとんでもないことになる。
主体である日本の主権者は、そういう事態を確実に回避するために、自分たちの政府が韓国、中国、ロシア、およびアメリカと信頼関係を築き、当事国を対話の場に誘うよう最大限の努力をするべきなのである。

 (2017年9月16日。依拠する社会理論と分析方法、問題→歴史→構造→意味→戦略→主体、については拙著『主権者の社会認識』東信堂、2016,とくに第[章、236-7ページ、現代社会のマトリクスおよび構造と主体、を参照)。

「ニューノーマル」のとてつもなく深い意味
 この10ヶ月ものあいだ、ヨーロッパ主要都市でのテロ、中東の一部の国の事実上の崩壊とテロリスト集団の横行、大量難民の発生、アメリカの大統領選におけるトランプ現象やサンダース現象、イギリスでのEU離脱の国民投票、ヨーロッパ主要国での右派の台頭、が続いてきている。
 東アジアでは、北朝鮮の核実験とロケット発射が続き、中国の海洋進出や韓国の竹島での行動などが起こっている。
 日本では、それらの動きを根拠に、昨年強引に成立させた安保法制を実質化しようとする動きが続き、7月の参院選の結果などをふまえて、沖縄のへり基地や辺野古新基地の建設を再開しようとする動きが強まっている。
 これらをつうじて大きく見えてきているのは、欧米日「先進国」が16世紀以来つくりあげてきた世界秩序への、旧植民地従属諸国の異議申し立てであり、新秩序形成への要求と動きである。
 欧米日「先進国」が大きな歴史の動きに気づき、過去の植民地主義帝国主義を真摯に反省して、旧植民地従属諸国の意向を組み込んだ新世界秩序形成への展望を示す以外にない。
 日本は朝鮮半島と中国というもっとも近い友人を植民地従属国化しようとしただけに、それだけきびしくこれら諸国から批判され続けている。
 日本はそれだけ、この5世紀に形成されてきた世界秩序への責任を自覚しやすい立場にある。その立場を生かして、韓国や中国にたいして率直な反省と謝罪の態度をとるだけでなく、欧米諸国にたいして旧植民地従属諸国の意向を代弁し、それを生かした新世界秩序へのリーダーシップを取るべきなのである。
 リーマンショック後に経済学で使われるようになった用語を転用し、冒頭に述べた現実を「ニューノーマル」とみる見方がある。
 かりにそうするならば、「ニューノーマル」の意味は、この5世紀の世界史を背負うほどとてつもなく深いのである。
 (2016年8月17日)


 『主権者の社会認識:自分自身と向き合う』(東信堂、2016年)を刊行しました。
 
これまで民主社会創造の主体とされてきた市民や労働者は、今やその役割を果たすには不十分である。私たちは選挙時だけの有権者でもなければ、大きな企業に振り回されているだけなのでもない。自らがこの社会を創り直す政治的かつ経済的な主権者として生きるための、不可欠な意識変革とは何か。本書は歴史と社会の分析をつうじて、市民から主権者への、パラダイム転換の理念と方策を提示する。


 『主権者の協同社会へ:新時代の大学教育と大学生協』(東信堂、2016年)を刊行しました。

 いま大学でもっとも重要なのは、社会を創り上げる《主権者》へと、学生が自ら成長する教育の活性化だ。そのため通常の教育に加えて、学生自らの協同によって運営される大学生協の、実践的主権者学習機関としての意義は大きい。本書は、著者の生協体験をふまえて、企業中心の経済とそれを助長する今日の政治を克服し、協同組合・労働組合・NGO/NPO等の連携をつうじて、政治的にも経済的にも現状を一新する、民主協同社会への展望を切り拓く労作である。


 エッセー欄に「これからの農協と農業について」を掲載しました。
 これは2015年10月14,15日におこなわれたJA全国大会への参加をふまえて、日本の農協とこれからの農業について論じたものです。主権者は自らの食の調達について、主体的に考えなくてはなりません。とくに若い人たちの関心を高めていく必要があります。

 エッセー欄に「市民および地球市民について」を掲載しました。
 これは2015年11月7日に清泉女子大学地球市民学専攻でおこなわれた公開シンポジウムをふまえて、中国、韓国、インドネシア、およびフィリピンで市民および地球市民という語がどのように用いられているかを検討し、これらを真の主権者の意味に高めるためにどうすべきかを論じたものです。
 

 主権者意識の向上と沖縄辺野古の問題
 安保法制に反対する運動をとおして、日本の人びとのあいだにかつてなく主権者意識が高まった。主権者はわれわれなのだから、われわれを無視して勝手に憲法解釈を変えたりするな、という意識である。現在の議会の構成は一時的なものにすぎず、しかも小選挙区制を主体とする選挙制度によって誇張されているのだから、憲法解釈を変えるような重大な決定をするのであれば、もう一度われわれの意思つまり民意を問え、という意識である。
 この意識をさらに強めつつ広げ、次の選挙につなげていかなくてはならない。今、そのために重要なのは、沖縄辺野古の問題について意思表示をすることである。政府は、名護市民につぐ沖縄県民の明確な意思表示を無視して、辺野古への新基地建設を強行しようとしている。知事を初めとして沖縄県民は、この政府の強硬措置に屈せず、くり返し新基地建設を止めるよう要求している。
 われわれ主権者は、政府の新基地建設強行を止めさせるべきである。そのためにどういう意思表示がもっとも効果的か、考えながら実行すべきである。それが日本社会を民主化し、世界を民主化していくことにつながっている。
(2015年11月11日)


 『学生支援と大学生協:民主協同社会をめざして』(丸善プラネット、2015)を刊行しました。
  2006年から14年まで大学生協連会長理事を務めてきた著者が、とくに2009年以降の活動をふまえて、学生支援の重要性、東日本大震災・原発事故克服の方向、市民から主権者へのパラダイム転換を論じ、若き主権者の事業としての大学生協が切り拓いていく民主協同社会への展望を描いたものです。
  学生、院生、留学生、教職員、生協職員の大学生協の意義についての議論の手がかりとなることを期待しています。

 全国大学生活協同組合連合会
 民主化の進む世界、再建を迫られる日本のなかで、主権者の事業としての協同組合の意義が高まっています。大学生協は日本における協同組合の重要な源流の一つです。国際協同組合同盟は、201210月マンチェスターでの臨時総会で、2011年から20年までの10年をあらためて協同組合の10年とするよう、決定しました。2020年に向けて、大学生協はその活動の全体をつうじて、日本と世界の今とこれからを考えつづけます。リンクをご覧ください。

 『大学改革と大学生協:グローバル化の激流のなかで』(丸善プラネット, 2009)を刊行しました。
  地球市民の社会学を日本におけるNPOの元祖、220近くの単協と150万の組合員を擁する大学生協に適用した実践社会学です。大学生協を利用している人びとやそのために活動している人びとに、その歴史的現代的意義を考えていただく手掛かりになります。詳細はリンクをご覧ください。

 『地球市民学を創る:地球社会の危機と変革のなかで』(編著、東信堂, 2009)を刊行しました。
  庄司をはじめとして清泉女子大学大学院地球市民学専攻のメンバーが、この5年間の実績をふまえて世に問う地球市民学の構想です。詳細はリンクをご覧下さい。

 『社会学の射程:ポストコロニアルな地球市民の社会学へ』(東信堂, 2008)を刊行しました。
  人間の思考と思想にかんする1960年代の処女作を振り返り、現代的遠近法で今日の社会学の射程を明らかにするものです。詳細はリンクをご覧下さい。

 地球市民塾の開催について
 清泉女子大学地球市民学科の卒業生、および同大学院地球市民学専攻に入学した人(科目等履修で参加した人を含む、修了は条件としない)を対象に地球市民塾を開催します。気軽に参加してください。詳細はリンクを参照。